お金の授業:No5「金本位制」
前回の動画で正式な通貨(本位貨幣)との交換を約束した紙幣(兌換紙幣)の話をしました。
この仕組みは中国発祥ですが、徐々に世界中に広まりました。その理由は、単に紙幣が持ち運びが楽というだけではありません。政府が持っている正式な通貨以上に紙幣を発行できるのですから、見かけ上は資産が増えたようになります。
ただし、政府の持っている資産が底をついたり、政府や国がなくなったりすれば、当然、その紙幣も”ただの紙”になってしまいます。約束を守るはずの相手が倒産したり、亡くなってしまったのと同じですからね。
紙幣が使われるようになっても、正式な通貨はその国の金貨や銀貨、銅貨などです。それらも国によって違っていました。ですから、国の間で貿易をするには、相変わらず金貨や銀貨などが使われていましたので不便でした。
このため、1816年に、イギリスのイングランド銀行は保有している「金」を基準とし、イギリスの通貨(ポンド)と「金」を一定の比率で交換することにしたのです。そして、その他の国も自国通貨と「金」の交換比率を定めました。
例えば、「金」1gがA国では「a通貨1枚」、B国では「b通貨10枚」だとすれば、a通貨1枚とb通貨10枚が同じ価値を持つこと になります。A国の人がB国に行って、「a通貨1枚」を「b通貨10枚」に交換すればB国で買い物ができます。
このように、「金」を基準とした仕組みのことを「金本位制」と言います。
当時、イギリスは産業革命で生産した商品を世界中の国に売っていたので、この仕組みがあれば貿易がしやすくなります。これでイギリスはたくさんのお金を儲けました。お金が儲かったということはすなわち、イギリスに「金」がたくさん集まったということです。
でも、その後の第一次世界大戦でイギリスを中心とした「金本位制」は潰れました。国同士が戦争するわけですから、通貨の信用もあったものではありませんからね。
そして、2つの世界大戦を経て、金融の中心がアメリカに移っていきました。
そのお話は次回の動画で。