紙幣の誕生〜お金の授業 No.4〜

お金の授業:No4「紙幣の誕生」

貴金属でできたコインは、それ自体に価値がありましたが、現在の1万円札のような紙幣が「お金」として使われ出したのはどうしてなのでしょうか?

世界最古の「紙幣」は「交子」と呼ばれ、今から1000年ほど前の中国、北宋という国で誕生したと言われています。

「交子」が誕生する前の北宋の通貨は鉄でできた「鉄銭」でした。でもこの「鉄銭」は重くて持ち運びに不便でした。

そのうちに、この「鉄銭」を預かる「交子舗」と言う金融業者が現れました。お客から「鉄銭」を預かって、預かり証を発行しました。この預かり証は「鉄銭」と同じ価値を持つため、通貨の代わりとして用いられるようになりました。この預かり証のことを「交子」と呼んだのです。 

 ところがそのうちに、預かった「鉄銭」の何倍もの「交子」を発行する悪質な業者が現れて、取り付け騒ぎのようなことが起こるようになったのです。当然ですよね。

この取り付け騒ぎをみた北宋政府は、公的な「交子」である「官交子」を発行することにしました。世界初の政府による紙幣の発行です。

この「官交子」ですが、取り付け騒ぎが問題になったのなら、北宋政府の持っている「鉄銭」と同じだけ発行したのかと言うと、そうではありません。「官交子」のために準備した(保管している)「鉄銭」の3倍近い「官交子」を発行したのだそうです。この上乗せ分は、北宋政府の収入になったんですね。

この「官交子」のような紙幣を「兌換紙幣」と呼びます。金融用語では「本位貨幣」と呼ぶ正式な通貨との交換を約束した紙です。現在の小切手のようなものです。

つまり、「兌換紙幣」そのものに価値があるのではなく、その「約束」に基づいて交換可能な正式な通貨に価値があったのです。

さて、だんだんと現在の1万円札に近づいてきましたが、1万円札は「兌換紙幣」ではありません。銀行に1万円札を持っていっても、「金」や「銀」とは交換してもらえませんよね?

なぜ、そうなっていったのかは、次の動画でお話しします。

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