投資家コース:No14-1「簡単にわかるファイナンシャル・リテラシー」
~重要なのはキャッシュフローだ~
洗練された投資家になるには、たくさんの異なる財務関係の書類を読めなければならない。そういった財務書類の中心にあるのが損益計算書と賃借対照表だ。
金持ち父さんはよく、「この2つのうち一方だけを理解するなんてことはできるわけがない」「収入の欄や支出の欄を見ないで、本当の資産や負債をどうやって見分けるんだ」「資産の欄に入っているからといって、それだけでそのものが資産になるわけじゃない」と言っていた。
私はこの言葉が、金持ち父さんが教えてくれたことの中で一番大事だと思っている。金持ち父さんはこうも言っていた。「たいていの人がお金のことで困っている理由は、負債を買ってそれを資産の欄に書き入れているからだ。だからこんなにたくさんの人が、本当は負債なのに持ち家を資産と呼ぶんだ」。
家の借金を払い終わったら、それを資産と考える人が実に多い。でも、持ち家が必ずしも資産とは限らない。その理由は『キャッシュフロー』という言葉にある。たいていの人の持ち家は、たとえ借金がなくてもいろいろな支払いがあり、固定資産税もかかる。その一方で、持ち家から収入を得られるわけではないからだ。
金持ち父さんは、持ち家を所有することには大賛成だった。ただ、「家はお金をつぎ込む対象としてかなり安全ではあるが、必ずしも資産とは言えない」と考えていた。だから、「それが負債ならば、負債と呼び、しっかりと監視した方が良い」と言っていた。
金持ち父さんにとって、ビジネスと投資において一番重要な言葉は『キャッシュフロー』だった。漁師が潮の干満をしっかり観察しなくてはいけないのと同じように、投資家やビジネスオーナーはキャッシュフローのちょっとした変化に敏感でなければならない。人や会社がお金のことで苦労するのは、キャッシュフローのコントロールができないからだ。
極端な話、持ち家を資産と言う人は、不動産屋が3,000万円で売れるという言葉を信じて、資産の蘭に3,000万円を書き込む。でも、本当に3,000万円売れるかどうかは別だ。不動産バブルがはじけて半額になっても売れないという場合もある。
一番危険な投資家は負債しか持っていないのにそれを資産と思っていて、収入はあってもそれと同じだけの支出があり、その収入の源が自分の労働だけという人だ。そういう人は、収入が途絶えたら終わり、と言う状態で投資をするから非常に危険だ。
金持ちになりたかったら、教育だけでなく、個人のキャッシュフローも自分できちんとコントロールしなければならない。今の自分の経済状態に対するコントロールを失わないでいる限りは、投資対象の値段が将来上がるようにと希望的観測をするのは一向に構わない。
あなたも投資をする前に、自分の財務諸表をチェックすることをお勧めする。
書籍『金持ち父さんの投資ガイド 入門編』より