成功せずに満足する人たち…
From:寺本隆裕
何年か前、とある経営者から相談を受けました。
彼の会社はめちゃくちゃ大成功してる!というわけではないけれど、経営陣がそれなりに食べていくには十分です。
僕よりも二回りほど歳の離れた彼は、自分の息子にその事業を継がせて、自分は引退したい、ということを日頃から言っています。その息子は今、彼の会社で従業員として働いています。
彼の会社が今、抱えている問題は、
- 良い人材が集まらないこと。
- 集客が社長に依存していること。
- 業界全体に大手含め新規参入者が増えているので、それらの競合に負けないよう、新しいサービス商品を次々に投入しなければならないこと。
がメインだそうです。そして僕は彼に、いくつかのアドバイスをします。
「会社の売上がこれくらいの規模になってくると、社長がやるべき仕事は、起業家としてやっていたときの仕事と、全然違う種類のことをやらないといけない。」
なので、こういうこととこういうことを、覚悟を決めてコツコツやっていかないといけない。・・・というたぐいのこと。マーケティングやセールスについても、もっと力を入れる必要があるということも伝えました。
短い時間での会話でしたが、彼は僕に、感謝の意を示して、場はお開きになりました。彼は何をすべきかが明確になったような、満足そうな顔をしていました。
そして、、、
彼と別れてすぐ。
僕は、彼はこのアドバイスを実行しないだろうな、と思いました。というか、アドバイスを求めてきた瞬間から、そう思っていたんです。なぜなら、僕が彼からこのアドバイスを求められたのは、今回でもう3回目だからです。(でも彼とは元々はビジネス上の知り合いではないし、プライベートの付き合いも長いので、こうやって「雑談」をしています…)
そしてその3回とも、僕は同じアドバイスをし、彼は同じように満足そうな表情を浮かべて、同じような感謝を示してくれるのです。つまり、彼は僕にアドバイザーとしての役割を期待しているのではなく、単なる話し相手としての役割を期待しているだけなのです。
彼は、「会社をもっと大きくしたい」と言っている。そして彼はもうすでに、自分が何をすべきなのか「知って」いる。でも、それを実行する日はきっときません。
なぜなら、彼は本気じゃないからです。
「もう歳だから、そろそろ引退してもいいだろう」
「もう歳だから、あまり頑張らずに食っていければいい」
ってことを言っているのも知っています。
僕の尊敬するマーケティングのメンター、ダン・ケネディはこんなことを言っています。
その分野で成功できるかどうかは、その分野で成功したいという気持ちがどれくらい本気か、によって決まる。
「こうすれば成功する」というノウハウをどれだけ知っても、成功したいという気持ちが弱ければ、それが実行に移されることはありません。
あるいは、とっても実行スピードが遅くなるか、そのノウハウを実行するときに「徹底的に」やらずに、「まぁまぁこれくらいだろう…」のレベルで実行することになってしまいます。(もちろんそれではうまくいかない)
一方、ノウハウなんてなかったとしても、、、成功したいという気持ちが強ければ、ノウハウなんてのは何とでもなります。
時間がない、お金がない、自信がない、、、
でも、、、
「だから何だ??」
という気持ちで、足りないものは超スピードで調達してくるものだからです。
睡眠時間を削って時間を作ったり。
趣味を我慢してお金をかき集めてきたり。
迷う暇なく行動してみたり。。。
結局のところ、自分がそうしたい、って思う気持ちに敵うものはありません。それに、そういう情熱を持った人は魅力的に映り、協力したい、という人も寄ってくるもの。
禁煙したい
ダイエットしたい
ビジネスで成功したい
など、
よく、「●●したい」って言う言葉を人は発するけど、
これらは全て、
本当に「したい」のかの本気度によって、
それができるかどうかが決まると僕は思っています。
本気でそうしたいなら、
本気でそうするはず。
でも、そうしないなら。
どんな「事情」があれ、言い訳を言うなら、、、
それは、本気でそうしたい、って思ってないということです。
今のままでも、まぁいいや、って思ってるってこと。
僕は、そんな気持ちだったら、
「●●したい」って言わないほうが幸せだと思います。
例えば、
禁煙したい
って言いながら、、、
喫煙者とつるんで飲みに行って、つい吸ってしまったら、、、
自己嫌悪に陥って、セルフイメージが下がってしまいます。
(ちなみに僕は昔、タバコを吸っていたのですが、、、マーケティングを極めると本気で決めた瞬間、脳に悪いことをしている場合ではないと思い、持っていたタバコや喫煙具を全て捨てて、それ以降二度と吸っていません)
ビジネスで成功したい
っていいながら、、、
早朝の読書をやらずに、つい寝坊してしまったら、、、それもまた「オレはなんてダメだ奴なんだ」となってしまいます。
自分で自分を傷つけてしまうのです。
そうなるくらいなら「オレは禁煙しない」とか、「オレは成功したいとは思わない。そこそこでいい」と開き直ったほうが、セルフイメージも下がらず、幸せだと思います。
特にビジネスの場合、そうだと思う。
だってどうせ、
本気でやらなかったら、
本気の本気でやってる奴に、勝てるわけ、ないですからね…
成功の確率は、
言い訳の上手さと反比例する。by ダン・ケネディ
寺本隆裕