ファイナンシャル・リテラシーを高める4ステップ
お金のルールが変わるのは不公平なことかもしれません。あなたを貧しくして、コントロールが利かなくするのです。
実際、その通りです。
金持ちになるための鍵は、世の中のシステムが不公平であることを認め、ルールを学んで自分に有利になるように利用することです。そのためにはお金の教養が必要で、それはお金の問題を解決することでしか身につけられません。
金持ち父さんはこう言いました。
「金持ちがさらに金持ちになるのは、金持ちがお金の問題を解決するために学ぶからだ。金持ちはその問題から学び、成長し、賢くなり、さらに金持ちになるチャンスだと捉えている。彼らは、お金に関するIQが高いほど、より大きな問題を対処できることを知っている。だから、より多くのお金を稼ぐことができるのだ。お金の問題をそのままにしたり、避けたり、問題など存在しないかのように行動するのではなく、その問題を受け入れる。より賢くなるチャンスだと知っているからだ。だから彼らはより金持ちになるのだ。」
金持ち父さんは、貧乏な人たちをこう説明しました。
「貧乏な人たちは、お金の問題を”問題”としてしか見ていない。多くの人がお金の犠牲者だと感じている。お金の問題を抱えているのは自分だけだと思っている。貧乏な人たちは、もっとお金があれば問題が解決すると思っている。お金に対する自分の態度が問題だとは考えもしない。その態度がお金の問題を引き起こしている。問題を解決する能力がなかったり、問題を避けようとすることが、お金の問題を長引かせてより大きくさせている。金持ちになるどころか、彼らは貧しくなっていく。お金のIQを高める代わりに、彼らが増やす唯一のものは自身のお金の問題なのだ。」
貧乏な人たちはお金の犠牲者ですが、中間層の人たちはお金の囚人です。
金持ち父さんは、中間層の人たちについてこのように言いました。
「彼らはお金の問題を違う方法で解決する。お金の問題を解決するのではなく、出し抜けられると考えている。学校に通うためにお金を費やすので、安定した仕事に就くことができる。ほとんどの人がお金を稼げるだけの賢さはあるので、自分と問題の間に摩擦をやわらげるための壁を作るのだ。家を購入し、仕事に通い、無難に振る舞い、出世階段を上り、株・債券・投資信託を購入して退職後に備えて貯蓄する。彼らの学問的あるいは専門的教育が、残酷で厳しいお金の世界から自分たちを守ってくれると信じているのだ。」
乏しいファイナンシャル・リテラシーの代償
私たちは皆、読む・書く・話す・計算する能力というリテラシーの重要性を知っています。
リテラシーは、人間と外の世界とをつなぐものです。ファイナンシャル・リテラシーとは、普通の人には見えないものを見る能力、つまりチャンスを生み出す能力のことを言います。
ファイナンシャル・リテラシーの低さは、経済的自由になるための能力の妨げになります。例えば…
- ファイナンシャル・リテラシーが低い人たちは、恐怖心を抱きながら生活しており、安全に対する誤った意識に固執します。ファイナンシャル・リテラシーがないと自尊心と自己評価が低くなり、効果的で決断力のある行動をすることができなくなります。
- 私はファイナンシャル・リテラシーのない人が、閉ざされた考え方を持っていることに気付きました。多くの人が金持ちは根性が曲がっており、貪欲で残酷だと思い込んでいます。また、お金がもっとあれば問題も解決するはずだと思っているのです。しかし、宝くじの当選者と報酬の良いアスリートから分かるように、それは真実ではありません。彼らが学校でお金について教わっていれば、財産を受け取ってすぐに失うことはなかったでしょう。
- ファイナンシャル・リテラシーがなければ、世界経済で何が起こっているのかを知ることはできません。彼らはお金の問題を誰かのせいにする傾向があります。多くの人が自分たちのお金の問題を金持ちのせいにします。彼らのほとんどは税制の犠牲者なのです。彼らは金持ちがほとんど税金を支払わないことに対して怒ります。金持ちが税金を少なく支払う理由(あるいは、どのように支払う税金を最小限に抑えているのか)を知ろうともせず、彼らを「詐欺師」と呼ぶのです。
- ファイナンシャル・リテラシーが低いと盲目状態になります。彼らには目の前にある数百万ドルのチャンスが見えません。それどころか、お金について自分自身を信頼するよりも、会ったこともない人を信用するのです。これが何百人もの人が「自分のお金をどうすればいいですか?」と尋ねる理由です。そして、自分のお金を誰が「管理している」のかをよく知らないまま、長期的に投資するのです。
ファイナンシャル・リテラシーの基礎
ファイナンシャル・リテラシーに乏しいという問題を解決する方法について色々な考え方があります。残念なことに、お金に関する教育として分類されているものの多くは放置されることを望まれています。
私の経験から、貯蓄、401kへの投資、大学の学位の取得、頭金の支払や住宅保有などの概念に重点が置かれていると言えます。つまり、お金に関する古い考えに重点が置かれているということです。
ファイナンシャル・リテラシーの低さによる多大なる犠牲と、アメリカでのお金に関する真の教育の欠如を踏まえて、ファイナンシャル・リテラシーの4つの基礎を簡単に紹介しておきましょう。
ファイナンシャル・リテラシーの基礎1
資産と負債の違い
会計士は、人々と企業を実際よりも豊かだと思わせるために、経済的トレーニングを必要とする特定の定義を使います。
これが彼らの雇用を守り、クライアントをめでたくも無知な状態にしています。
金持ちは、単純明快で現実に基づく別の定義を使います。
「資産とはお金をポケットに入れてくれるもの、負債とはポケットからお金を取るもの」です。
ファイナンシャル・リテラシーの基礎2
キャッシュフローとキャピタルゲイン
ほとんどの人はキャピタルゲイン目的の投資をします。
金持ちはキャッシュフローのために投資をします。
簡単に言うと、キャピタルゲイン目的の投資はギャンブルのようなものです。自分のお金を投資して、価格が上がることを願います。例えば、後に購入時よりも高い価格で家が売れることを期待して、多くの人が家を購入します。その間、彼らは住宅ローンと家にかかる諸経費を支払わないといけません。そのお金は彼らのポケットから出ていき、家は負債となるのです。
問題は、キャピタルゲイン目的で投資をすれば、価格変動のコントロールができないことです。そして、もっと大きな問題は、利益を生めば税率がさらに高くなるということです。
キャピタルゲインではなく、キャッシュフロー目的の投資をすることによって、金持ちは収入をコントロールし、税金の支払いを最低限にすることができます。場合によっては、税金を支払う必要がないこともあります。
ファイナンシャル・リテラシーの基礎3
借金と税金を利用して金持ちになる
税金に関して言えば、政府がある特定の動きを促すために税法を定めることを金持ちは理解しています。
政府が手頃な住宅を建ててほしいと思えば、減税します。
石油探査を促進したければ、減税します。
雇用を増やしたければ、それに対して減税をするのです。
実はほとんどの税制優遇は起業家や投資家のために行われます。正しいお金の教育があれば、あなたも税法を利用して金持ちになれるだけでなく、税金を支払う必要もなくなります。
良い負債を使い、税金で金持ちになるには、高レベルのファイナンシャル・リテラシーが必要なのです。
ファイナンシャル・リテラシーの基礎4
自分で経済的な判断をする
自分のお金の知識について自信がないと、他人に経済的判断を任せてしまいます。
金持ちは大衆には従いません。彼らは流行を作り出し、それが主流になるまでには立ち去ります。彼らはお金のことを自分で考え、自分で経済的判断を下します。それができるのは、高度な経済的知識があるからです。
大きな富を築くための鍵は、行動に移すための優れた知識があること、そしてどれが最善のやり方なのかを知るための優れた知恵があることです。この種の知識と知恵は、お金の勉強に専念して得られる高度な経済的知識を通じてのみ得ることができます。
人生の中で起こる多くの出来事と同じように、お金の教育はプロセスなのです。より素晴らしい人生のために。

ロバート・キヨサキ